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おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

空を見上げる古い歌を口ずさむ 小路幸也 講談社文庫

講談社BOOK倶楽部 内容紹介より

20年前、兄が言ったんだ
「誰かが<のっぺらぼう>を見るようになったら呼んでほしい――」

みんなの顔が〈のっぺらぼう〉に見える――。息子がそう言ったとき、僕は20年前に姿を消した兄に連絡を取った。家族みんなで暮らした懐かしいパルプ町。桜咲く〈サクラバ〉や六角交番、タンカス山など、あの町で起こった不思議な事件の真相を兄が語り始める。懐かしさがこみ上げるメフィスト賞受賞作!

メフィスト賞受賞作ということで、基本的にはミステリだろうと思って読み始める。周りの人がのっぺらぼうに見えるという謎。それを20年前に予言していた兄という謎。これらの謎が、どのようにミステリ的に解決されるのだろうか。わくわく。
1970年代の地方都市の様子がノスタルジックに描かれる。ここらへんでゲンナリしはじめる。私のツボを全然突いてこない。また、ミステリ的なフックが撒かれるが回収されない。少年時代の兄は「犯人らしき人」を目撃するのだが、人がのっぺらぼうに見えるので誰が誰だかわからないというカオス的謎状態。これがミステリ的に誰であるかが解明されれば面白かったのだがなあ。あと、あるものに顔を突っ込んで死んでいる男。これがダイイングメッセージとか、犯人からのメッセージとかさあ。いろいろあるでしょうに、作者は一切無視。特に冒頭に示した謎はミステリ的には解かれることはなくて、がっかり。ミステリ的ではない解き方がされるのだが、それならばこの話は始まったばかりの所で終わったと判断せざるを得ない。息子が重い荷物を背負ったままで放置。息子の父親は情動失禁。二十年間一人で生きてきた兄の孤独とか書きようによっては良い物ができただろうになあ。
ということで、ミステリにリアリティを感じられない人向きの一冊と言えるのではないでしょうか。しかし、なんでこれがメフィスト賞なのかなあ。