おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

七体さん

  • 「この はし わたるべからず」

    七体に下された指令はこの一行だけ。古代文様が刻まれた美しい箸はその美術的価値とは別に、足利義満の政権を根幹から揺るがす秘密が隠されていた。この箸を狙う秘密結社スペクター。禅宗の小坊主である七体の正体は殺しのライセンスを持つ諜報部員であったのだ。

    国境の河に架かる橋のたもとに立看板が一つ。男は立看板を一瞥するとためらわずに橋に向かう。ここで「七体」のロゴが「007」にモーフィングするタイトルバック。
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    「この箸をスペクターに渡すことはならん。無事に大英博物館に運んでくれたまえ」
    新Mさん(新衛門さん)はこう言って箸が収められたアタッシュケースを七体に渡した。
    「簡単な仕事のように思えますが」
    「スペクターを甘く見てもらっては困る、特に首領のブロフェルドには注意しておいた方がいい。出発する前にQのところに寄っていきなさい」
    「またくだらない秘密兵器ですか?できれば勘弁してもらいたいんですが」
    「まあ、そう言うなよ。では幸運を祈る」
    「あら、もうお出かけ?」
    「ミス・マニペニー……ていうか、どう見ても、さよちゃん」
    「しょうがないでしょ、他に女性キャラというとあんたの母さんくらいしかいないし。一休さん(アニメ)にはBLアニメかと思うくらい女性キャラが少ないんだから」
    「七体、説明しよう。君が持っているアタッシュケースだが、二重底になっていて奥底には黄金色の餅が入っておるのでございます」
    「おぬしも悪じゃのう、きQ屋殿(桔梗屋殿)」

    わーわー言うとる内にドーバー海峡の船の上でございます。

    船の甲板ではブロフェルドと小坊主の七体が対峙している。
    「七体君、もうあきらめなさい。スパイ小説と日本昔話では文体に統一性が保てない。君には逃げ場はないよ。その箸を渡していただこう」
    「ブロフェルド、なぜこの箸にそこまでこだわる?」
    「説明しよう。その二本の棒は箸ではない、実はロンギヌスの槍。キリストを貫いたこの槍を正しい方法で使うことにより救世主を現世に復活させることができる。世界征服も夢ではない。こちらに渡さないというなら、君とは永遠にさようならだ」
    「もはやこれまでか……」
    「その前に、僕の金閣寺で君の室町幕府『花の御所』を味あわせていただくとするか」
    「なに?や、やめろ」
    「君と僕とで南北朝合一!」
    「ちょ、ちゅ、いきなり変な路線に!」
    「仕方ないだろ、僕の名前はブロフェルド(BLoFeld)。僕自体がBLのフィールドなのさ」
    その時銃声が響く。
    「その手を放しなさい、ブロフェド」
    「お、おさよちゃん」
    「なぜ、Mの秘書のミス・マニペニーが現場に?」
    「まんまと引っかかったわね。ブロフェルド! その七体はおとりの替え玉。殺しのライセンスを持っているのはこの私!」
    「もはやこれまで」
    自爆装置により船は沈没、ブロフェルドは海の藻屑に……。
    おさよちゃんと七体は間一髪、救命ゴムボートで脱出。
    「まさか君が殺しのライセンスを持っているとは」
    「あら、とっくに気が付いていたと思ってたけど。私がマニペニーの役で出てきた不自然さから…」
    「と言うと」
    「おさよ=お千(せん)の余 、マネーのペニーが千、1000ペニーは10ポンド 
    ジュウポンド、ジュームズポンド、ジェームスポンド、ばんざーい、ばんざーい」
    「ばんざーい、ばんざーい」
    二人の諜報部員の万歳は、ドーバー海峡にいつまでも響き渡るのでした。
     
    エピローグ
    ロンギヌスの槍であった古代の箸の行方は、この事件以降不明である。
    ちなみに とんち合戦で知られる将軍様足利義満室町幕府にて日本の頂点に立ったのち病に倒れ、応永十五年五月四日に一旦事切れ、その日のうちに復活したことが知られている。復活した義光が五月六日に死去するまでにキリストの再来として奇跡を起こしたかどうかについては残念ながら伝えられていない。