三体さん
「ところがじゃ、天体が三つ以上の場合はそれぞれの引力の影響が複雑に絡み合い、その軌道は複雑怪奇となり容易に計算する事が難しくなる。これを"三体問題"という。かのニュートン翁も賢者ライプニッツも解くことが出来なかったという。そこで名前が同じおぬし「三体」を呼んだのは他でもない。三体問題をおぬしの頓知で解決してみよ。くるしゅうない」
なんだよこれ。数学とか天体物理学の問題じゃないか。お寺の小僧に歯が立つわけないじゃん。
「恐れながら将軍様、お天道様とお月様とこの大地の動きは、仏様の思し召し、我々庶民のあずかり知らぬ所にございます」
将軍様は笑いながら尋ねた。
「三体、頓知では解けぬ……と困っておるのか?」
「御意に……ございます」
「三体問題で三体殿が苦労しておる。三体苦労す……さんたいくろーす……サンタクロース! メリークリスマス!何をボケっとしておる今日は12月24日、クリスマスイブじゃぞ。メリークリスマス!」
「あの……いつものオチは?」
「なんじゃ、いつものオチとは?」
「『打ち首じゃ』『そ、そんなぁ〜』っていう」
「今日はめでたい日、無礼講じゃ。そちもクリスマスを祝うがよかろう」
「私めは禅宗の僧侶でして耶蘇教のお祝いはチョット……」
「まあよいではないか、シャンパン呑みなはれ、七面鳥も食いなはれ」
「あいにくどちらも仏門の身には禁じられておりまして……」
「なに?ワシの七面鳥が食えぬと申すか。仕方が無い、いつものオチで落とすしかないかのう?」
「わ、わかりました。一緒に祝わせてください。メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
皆様に等しく幸福が訪れますように……。