おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

スパイダー パトリック・マグラア ハヤカワepi文庫

カナダから二十年ぶりに帰国した主人公。記憶が混濁し、歩くのもままならない。記憶を整理するために日記を書き始める。次第に日記の内容は過去と現在が入り乱れ始め、幻覚までもが混入してくる。少年時代に、父は母を殺し、娼婦が母と入れ替わって何食わぬ顔で暮らし始める。
ということで、精神病患者が語り手。ミステリ的に読むと平板なトリックだし、かといって主人公の幻想が強烈に魅力的というわけでもないので、ゴシック・ホラーとして読むのが吉。
前作「グロテスク」よりも仕掛けがストレートなのと、開き直ってバレバレの真相なところがかえってゴシックホラー的な効果をあげている。