おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

エナメルを塗った魂の比重―鏡稜子ときせかえ密室 佐藤友哉 講談社ノベルス

パトリック・マグラワの失われた探検隊(奇想コレクション)が出ていたので購入。最初の二編を読んでみて、端正な・よく出来た・完成度の高い幻想小説に魅惑されつつ、なぜか破綻した佐藤友哉を一気読み。
人間しか食べられない少女。ドッペルゲンガーに襲われた少女。虐(いじ)められる少女。コスプレで人格を変革する少女。
トリックとしてどうなのよ的な密室殺人。どう考えてもすぐバレるだろう常識的に考えてな人肉倉庫。それはちょっとどうよ的なドッペルゲンガーの謎解き。成立しているのか微妙な上に意味があるのか叙述トリック。異常すぎて、かつ、普通すぎるという微妙な平衡の上に立っている動機。
ミステリとして多くの欠点を抱えているにもかかわらず一気に読ませる。かといってミステリの解体を目的としていないところが評価に困る点。