おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

終着の浜辺 J.G.バラード 創元SF文庫

ゲームの終わり :死刑囚と看守が刑が執行されるまでチェスをする。カフカ的テーマだが、やはりバラードの終末観がたまらなくいい。
識閾下の人間像 :一時期流行した、高度に発達した資本主義により搾取される話ではあるが、やはり終末の匂いが強い。
ゴダード氏最後の世界:箱庭世界の話。現実世界に理不尽にも裏切られ、箱庭世界からも復讐され。
時間の墓標:普通の墓とは違う”死人のための墓”を暴く話。
甦る海:夜中になると海が迫ってくる男の話。
ヴィーナスの狩人:金星人に会ったと言う男と天文学者の話。よくある話といえばよくある話だが、バラードが書くと一味違う余韻を残す。
マイナス1:精神病患者の脱走が示す意味に翻弄される医者たち。
ある日の午後、突然に :突然、他人になってしまう恐怖。
終着の浜辺:廃棄された核実験場を彷徨う男の思索。


バラードの書く終末は、どうしてこう甘美なのだろうか。その終末は、未来ではないからであろうか。