おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

法月綸太郎の冒険 法月 綸太郎 講談社文庫

五、六冊読んだような気がするのだが、もう何を読んだかも忘れてしまったので心機一転。

本格ミステリは、作中に提示された手がかりで謎が解決されるように構成された作品のことを言うのだと考えている。とすると、探偵は推理に必要な手がかりは全て与えられるべきだと考えていることになる。言い換えると「僕が全てを手に入れることが出切るよう、世界は準備しておかなければフェアではない。」となる。本格ミステリの本質は世界系である。そして論理だけで閉じることを志向しているため、その世界は完全ではない。なぜならば論理だけで無矛盾を証明することは出来ないから。不完全な世界で全てを要求する登場人物。そういった意味では、全ての本格ミステリは青春小説である。

と、いつものように話をすぐ総括しようとしてしまうので、次に書く時に困ってしまうのだ。

本書は特に動機の設定がすばらしい。何故、死刑直前の死刑囚を殺さなければいけなかったのか、夫を亡くした老婆が殺された理由は、何故図書館の本の頁を切り取らなければいけなかったのか。おみごと。