おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

淑やかな悪夢 (創元推理文庫)作者: シンシア・アスキス他,倉阪鬼一郎,南條竹則,西崎憲出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2006/08/30メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 24回この商品を含むブログ (25件) を見る

表紙がいい感じなので画像を載せてみました。
海外女性作家しばりの恐怖小説集。流れを俯瞰するということで、歴史的意義が重視されておりますので、今の目で見ると古びていて、というか枯れている、というか古典的な怪談話も多く収録されている。
「追われる女」シンシア・アスキス 追われる女ということで古典的なオチまで読めるところが残念。この話、誰の視点なのか気になる。
「空地」メアリ・E・ウイルキンズ−フリーマン 引越し先は幽霊屋敷。
「告解室」アメリア・B・エドワーズ 告解室で見た神父は。
「黄色い壁紙」シャーロット・パーキンズ・ギルマン 神経を病んだ妻を休ませる為に田舎の家に休暇で訪れた夫婦。妻は寝室の黄色い壁紙が気になってしょうがない。−−−これは恐い。
「名誉の幽霊」パメラ・ハンスフォード・ジョンソン 陽気な幽霊の話。オチは落語的。
「証拠の性質」メイ・シンクレア 先妻の幽霊が初夜を邪魔する話。
「蛇岩」ディルク夫人 閉鎖的な場所に住む母と娘の運命。血にまつわる宿命が、娘の恋人を襲う。この閉塞感は男性には書けないところであろうか。
「冷たい抱擁」メアリ・E・ブラッドン 冷たい抱擁をする恋人の幽霊の話。ううむ、怪談だなあ。
「荒地道の事件」E&H・ヘロン 名探偵物のフォーマットで怪奇話を取り扱う手法。なんというか皿回ししながら漫才しているところを見ている感じ。芸全体としては面白いのだが、その漫才の中身は本当に面白いのか。
「故障」 マージェリー・ポウエン 列車の故障で仕方なく夜道を歩いていた主人公は、道に迷い古びた宿屋にたどり着く。訳者が言うように、一見ハッピーエンドだが、これからが怪奇の始まりのようにも読める。作者の意図したところなのか、そうでないのか気になる。
「郊外の妖精物語」キャサリン・マンスフィールド 直接的な恐怖感ではないが、相当恐い
「宿無しサンディ」 リデル夫人 若い神父に悪魔の試練が襲う。何度読み返しても最後の会話の意味がわかりませんでした。増水していて道がなくなっているはずなのにたどり着いているというところがヒントなのかもしれませんが、やっぱりよく判りません。