おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

犬博物館の外で ジョナサン・キャロル 創元推理文庫

主人公は天才建築家。2人の愛人がいる。で、突然気が狂う。なんとか立ち直ったらアラブの王様から犬の博物館の建設の依頼が来る。
ジョナサン・キャロルの作品は、この世界の裏側には違うルールの世界があるという前提のものが多い。話が進むに連れて、その世界が少しずつ噴出してくるわけですが、なにしろこの世界の描きかたが上手い。自然と噴出までの助走が長くなる。その上、違うルールに関しての説明は必ずしも十分になされない。読み手を選ぶ作家ではある。この世界の描写のやり方(起こっていることを記述しているだけのはずなのに、なぜか不安が湧き起こってくる)が好きなので楽しく読めました。
すると、わたしにとってジョナサン・キャロルはダークファンタジーでなくても一向に構わないことになるな。しかしながら、そういう微妙な物が売れるとは到底思えないのが苦しいところである。