おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

失はれる物語 乙一 角川文庫

乙一の作品は、私の好みから言うと、水っぽい。乾燥させて重量を8割くらいに減らせば私好み。別に私好みであれば偉いわけでもないからこれでいいのだろう。

  • 「CALLING YOU」 頭の中に想像していた携帯電話に誰かから電話が掛かってきた。発想からして異常。これがしみじみとした良い話となるのが、また異常。信じられない曲芸。
  • 「失はれる物語」 交通事故で右腕と指一本の感覚だけが残された男と妻と娘の話。右腕をピアノに見立てて弾くアイディアが素晴らしい。
  • 「傷」 人の傷を移動させる能力を持った友人の話。キングっぽい発想から出発して、しみじみとした結末に着地するのは何故だ。
  • 手を握る泥棒の物語」 手を握る泥棒の話。なんというか、こういう発想が出来た時点で作者の勝ち。たいていの人は出来ない。
  • 「しあわせは子猫のかたち」 えーと、幽霊と同居する話。主人公の幽霊に対するスタンスが独特。
  • 「ボクのかしこいパンツくん」 がははと笑って済ませるのが吉。
  • 「マリアの指」 拾った指をホルマリンの瓶詰めにする話。これが何故しみじみとした話として着地できるのか、まったくもって不思議。
  • 「ウソカノ」 彼女がいると、つい嘘をついてしまった。これが何故(以下略)

発想の異常さとプロットの曲芸と言う点ではスタージョン レベルの離れ業。天性の才能なんだろうなあ。