「みんな行ってしまう」 マイケル・マーシャル・スミス,嶋田洋一,創元推理文庫
当りでした。木に竹を接いだというのは、ちぐはぐな様子を指すが、木は見飽きたし竹も見飽きた人にとっては、木に竹を接ぐのは面白い。ある種の人の場合、出来てしまった全体の出来は二の次であって、木に竹を接いでしまったというアイディアだとか、木に竹を接がないではいれらなかったその心持のありように心を動かされる。
というわけで、竹木のオンパレードでひどく心を揺さぶられた短編集でした。SF風味のホラー短編集なので読者を選ぶかもしれませんが(訳者でさえ、出来がいまひとつとか書いているし)奇矯なもの(そしてその奥に垣間見える真実)が好きなひとには堪らない贈り物である。
でも文庫で定価が千円を越えるのは勘弁してもらいたいなあ。