おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

「奇偶」 山口雅也 講談社ノベルス

主人公である推理作家に、ありえないほどの偶然がふりかかる。推理小説では嫌われる「偶然」をテーマにした推理小説。偶然をテーマとした推理小説であるため、犯人は必然的に偶然となる。これは必然なのか偶然なのか。

偶然とともに圧倒的な量の偶然に関する薀蓄が語られる。

読了後、あるTVドラマを思い出した。昔、NHKで明智小五郎の連続ドラマをやっていた。最終回で、解決されない謎(犯人が写真に入り込む)を残して、明智は視聴者に向かって別れの挨拶をして、そしてスタジオの扉を開けて外へ出て行ってしまう。

「奇偶」は、今まで見たこともないものを見せてくれる稀有な小説である。しかし、いままでみたこともない所に連れていってくれるところまでは至らない。