おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

「シドニー! (ワラビー熱血篇)」「シドニー! (コアラ純情篇)」 村上 春樹 文春文庫

お盆の土日で気楽な読み物を適当に探してみる。5年前のオリンピックの本なら気楽に読めるだろうと読み始める。▼村上春樹はオリンピックが好きではない。▼冒頭のマラソンの描写が素晴らしいので驚く。わたし的には、上手いという印象からは最も遠いところに位置する作家。愚直なまでに一つのことを掘り下げ続ける不器用な人というイメージ。▼でも次の章からはいつもの印象に戻る。そうすると、対象(オリンピック)に対して愛が足りないので、読み進めるエンジンに欠ける。▼さすがにキラリと光るエピソードや語り口が出現する。でも全体からすると密度が低い。全体の分量を三分の一程度に刈り込めなかったのだろうか。