おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

不確定世界の探偵物語 鏡明 創元推理文庫

本が読めない奇病に罹患してしまったので、リハビリがてら既読の本を文庫化の機会に再読。というか雑誌掲載時にも読んでいるので三度目か。
タイムマシンで過去を改変しまくっているので、現実世界がころころと改変されてしまう世界に生きるハードボイルド。
人物描写に魅力が足りないのは棚の上に置いといて、この設定は素晴らしい。
推理小説は一言で言うと”借りを返す”話。それに対してSFは”借りを作る”話である。同じ借金の話とは言え、正反対の水と油であるから、なかなか馴染まないものである。
これがもって、アクロバティックな設定でもって馴染ませているのは流石。
主人公が話の特異点と設定せざるを得ないというのが、小説としてちょっと弱い。風呂敷のたたみ方は綺麗だが、SFとしては綺麗すぎ。でもこれより良い方法はなかなか思いつかない。
総じて頭のいい小説である。