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おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

Self-Reference ENGINE 円城塔 早川書房

文學界新人賞を受賞したんで、とりあえず出版しとくか。といった感じを受けたのだが。
冒頭から引用

全ての可能な文字列。全ての本はその中に含まれている。

 しかし、とても残念なことながら、あなたの望む本がその中に見つかるという保証は全くのところ全然存在しない。これがあなたの望んだ本です、という活字の並びは存在しうる。今こうして存在するように。そして勿論、それはあなたの望んだ本ではない。

ここらへん、神林長平の方がうまいよな。といいつつ読み始める。20の断片からなる奇想小説として読み進む。
この軽さは只事ではない。カルヴィーノ的な軽さを追及した小説は、重さの存在を意識的に避けることによる軽さなのだが、本作は徹底的に軽い。文字列の連想と論理の自律により自動的に紡ぎ出された文字列のように感じられる。
人間ではない者の論理(巨大知性体とか)は魅力的だが、異化効果を狙っているわけではなくて、ただ数学の証明のようにそうだからそうなのだと提示してあるだけ。軽い。

と軽さが好きな私は面白がって読み進めたわけですが。
で、最終章でいきなり全体像が見えると、遡って一気にこの小説の全体像が(おぼろげながら)見渡せるようになる。すると、単なる奇想集だったものが、いきなり意味を持ち始める。こりゃすごいや。
最初からまた読み直さざるを得ない。いやあ、すごい、すごい。