真夜中に捨てられる靴 デイヴィッド・マレル ランダムハウス講談社文庫
世界で一番読まれている作家という実感は、少なくとも日本ではないよねえ。ランボーの原作「一人だけの軍隊 」は映画と違って暗い雰囲気がよかったなあ。
- まだ見ぬ秘密 クーデータで逃亡する独裁者から命令された、謎の箱を死守する任務の行く先は。
- 何も心配しなくていいから 連続殺人犯に娘を殺された父親の妄執。
- エルヴィス45 プレスリーにこだわる大学教授の末路。
- ゴーストライター 若さを渇望する老脚本家がとった作戦とは。
- 復活の日 難病で瀕死の父親を冷凍保存する息子。
- ハビタット 謎の部屋に閉じこめられ、トレッドミルで運動させられる女性。
- 目覚める前に死んだら 1910年代をテーマにした人類絶滅物。
- 真夜中に捨てられる靴 毎夜、同じ場所に捨てられている靴の謎にとりつかれた警官。
ノンフィクション、推理小説、SF、ホラー、TVシナリオとバラエティにとんでいるが、テーマは妄執で統一されている短編集。確かに一つのことにとりつかれて、何もかも駄目になってしまう話がほとんど。作風としてはオールドスタイルというか、うまくまとめることに力を注ぐタイプでしょうか。
むりやり妄執方向へ話をもっていったために、いい題材を十分に生かすことができなかった作品もあるような気がするところも、作者の妄執への妄執であるという隠しテーマなのでしょうか。
各短編の前に作者が解説を書くというのはアシモフの専売特許だと思っていたのですが、ひょっとして一般的な形式なのでしょうか。
作者あとがきが、自伝的作品になっていて、これがまた良い。