日本以外全部沈没 自選短篇集3[パロディ篇] 筒井康隆 講談社文庫
裏小倉の確認のためBookOffで購入。まあ、全部再読なのだが。
火星のツァラトゥストラ:ツァラトゥストラが火星に現れた話。有名人の成り上がり方と没落のありかた。ツァラトゥストラに関してこれだけ理解していればたいした物ではないのだろうか。
日本以外全部沈没:日本沈没のパロディ。日本以外の世界が全部水没した世界というタイトルそのままの短篇。登場する実在の人物はほとんどお亡くなりになっているというところが時代の流れを感じさせるなあ。ラストの暗さと唐突さが何故か気になる。
ケンタウルスの殺人:SFミステリ。筒井康隆はミステリを書こうとすると、極端に真面目になるのだが、何故だろう。別ジャンルへの礼儀なのかなあ。
小説「私小説」:妻の描写がいいな。鬼気迫っていて。
ホルモン:ビタミンのほうが好きなのだけれども、下の話になるとやはり上手いと言わざるを得ない。
フルネルソン:セリフで構成されている。最後まで全く状況がわからない。でも面白い。わくわくする。ラストが、わからないまま、何故か心に残る。こういうのもやってみたいのだが、サイトでやると、わかわかんないと罵倒されて終わりである。
モダン・シュニッツラー:戯曲。一幕ごとにセックスの相手が一人ずつ代わる。宇宙飛行士とかコンピューターとかとやるとこころがSF。パロディー元があることは初めて知りました。
デマ:デマの伝播状況を図示。文庫では辛いものが……。最後、きっちりとSFとなるところが筒井康隆の律儀なところである。
バブリング創世記:旧約聖書の創世記のパロディ。レコード持ってます。音読すると結構感動的。
裏小倉:小倉百人一首のパロディ。解説がだんだん投げやりになることろがいいね。
緒家寸話:著者の周りの実話の記録。
読者罵倒:読者を罵倒する。これ、音読すべきなのだろうなあ。