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おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

「異形コレクション 魔地図」(光文社文庫)

とりあえず部屋を出て列車に飛び乗る。反対方向の列車に乗ればよかったのではないかとうじうじ悩む。終点についてしまったので、その町をさまよう。古本屋では半額セールが後二分で終了しますと店員が叫んでいる。二分で本を選べるか。パソコンショップのアングラ製品を冷やかしつつ店を出ると、帰宅途中の公務員の行列に巻き込まれつつ本屋に。
探していた「ママに捧げる犯罪」ヘンリー・スレッサーを入手。いつ読めるかとんと検討がつかぬ。
 平山 夢明の「独白するユニバーサル横メルカトル」が平積みになっているのを発見。発行部数が極めて少ないそうなので、買うか買わないか迷う。ユニバーサル横メルカトル地図の独白というアイディアは買いだが、なにしろ平岡夢明の本は読んだことがあるはずだが、印象に薄い。奥付をみると「独白するユニバーサル横メルカトル」は「異形コレクション 魔地図」(光文社文庫)にも収録されているということで試しにそちらを買ってみる。
って、この本、Amazonでヒットしないんですけど、本当に売っているの?

異形コレクション 魔地図」井上雅彦 監修(光文社文庫)

  • 「路環島の冒険」林巧

両親の離婚直前の家族旅行のホテルで、汚い子供に地図を押し付けられた僕は……。最後、それからどうなったかが非常に気になる。なにかほのめかしでもあればいいのだが。

  • 「応仁黄泉図」 朝松健

老境の一休和尚の冒険。ストレートな怪奇話。和尚が結局のところ傍観者なのが惜しまれる。

主要登場人物の三人とも読者にほとんど情報が与えられない。それにもかかわらず、ちゃんと読ませる。というか引き込まされる。話も古いタイプの構造だが、ほとんど感銘にちかい感を受けた。只者ではないな。

その路地を曲がると現れたのは……という題材で思いつくオチをことごとく避けて話を作るとこうなるというお話。SFのこの世代の人たちってシャイだからなあ。

  • 「猫ヲ探ス」 森真沙子

内田百間のノラの失踪事件を編集者の目で記す。中の手記が百間ぽくないような気がしてならない。

  • 「幻灯街再訪」 植草昌実

無声映画カリガリ博士」を巡る話。消え行く無声映画をなつかしむ老人達とめぐり合い……。うまいことバランスよく着地しているなあ。架空の映画が題材だったら完璧だったのだが。

  • 「皮膚」 松本楽志

傷跡や火傷の跡は皮膚に刻まれた地図であるという奇想を押し広げた作品。なんとも感想に困る作品。(←誉めている)

火災で妻子を失って上気を逸した主人公にUFOキャッチャーのぬいぐるみが話し掛ける。……ええ話や。

死にたくても死ねない僕は、なかなか自殺に成功しない彼女とめぐり合い、フツーなら青春ものになりそうなところが、とんでもないヒトデナシな話になるところが素晴らしい。

  • 「大帝国の大いなる地図」 ダーヴィデ・マーナ

ドタバタ。ううむ。帝国が作った地図というと、カルヴィーノボルヘスの原寸大の地図という傑作があるからなあ。ううむ。

  • 「独白するユニバーサル横メルカトル」 平山夢明

地図の告白というところで作者の一本勝ち。人間に知られざる地図の習性の数々というところで、さらに連勝。SF者からすると、最期は普通は思いつかない「地図ならではの特技」で決めてもらいたかったのが惜しまれる。

ホラーとして良くできている。主人公の女性が饒舌すぎると思ったが、それも効果を挙げている。でも饒舌すぎ。

  • 「コガラシとニゲヒメ」 斎藤肇

オンラインRPGの運営側のプレイヤー二人組み。(地図作成係)。ごめんなさい。作者の意図が汲み取れませんでした。デジタルな仮想空間のはかなさなのか、それ以上のことを言おうとしているのか。ううむ。


眠くなってきたので読み方が雑になってきたのかも。ということで残りは後日ということで。

目が冴えてきたので続ける。

  • 「ナウマンの地図Mappa*Mundi」 物集高音

地底に潜る秘境冒険小説。残念なことに、秘境の魅力がいまひとつ伝わらない。なんでだろう。超常現象が起きないからかな。

  • 「探検家の書斎」 井上雅彦

秘境冒険家の息子の話。超常現象が起きるせいか、引き込まれました。

  • 「旅立ちて風」 田中文雄

しばらく人が住んでいなかった家とボケた老女の恐さが存分に表現されている。死刑囚の話と地蔵の話は余分なような気もするし、いや、やはり必要だというふうな気もする。

”とっぴなこと”が説明なく起きて”どうだ恐いだろう”というスティーブン・キング的ホラーはちっとも恐いとは感じない不感症の私であるのだが、これは恐かった。どこらへんが違うんだろう。

  • 「ひろがる」 坂本一馬

地図に関するオーソドックスな話。これからどうするとか、これからどうなるとか、つい考えたくなるのだが、作者はそういうことをしないのが節度ある態度であると考えたのであろう。

  • 「わたしのまちのかわいいねこすぽっと」 多岐亡羊

かわいいタイトルに すっかりだまされました。かんせいどが たかいとおもいます。でも いけいこれくしょんの らすと としては かんせいどが たかいもの よりは えたいのしれない もの のほうが よかったかも と ちょっとおもいました。


結局のところ「独白するユニバーサル横メルカトル」を購入すべきか否かの結論は出ず。文庫化を待ってみるかなあ。
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このブログでは、なるべく誉める方針で運営しているのですが、運営者の心の余裕の問題で、そうもいかない風になってしまっているのは心苦しいところがありますが、なにしろ個人ブログですのでご容赦を。