おそらくは半茶のblog

流行に乗り遅れてはいかん!とブログをはじめてみたおっさんです。

地球の静止する日―SF映画原作傑作選 レイブラッドベリ, シオドアスタージョン 他 訳:中村融 創元推理文庫

名作SF映画の数々の中から原作短編を精選した、日本独自編集によるアンソロジー。

「趣味の問題」レイ・ブラッドベリ 「It came from outter space」の原作。
地球人のケツの穴の小ささを描いた作品。現代では爬虫類大好き、昆虫大好きの人も沢山いることでわかるように、趣味志向は多様化しているので、こういうふうにはならないのではないかなあ。


「ロト」ウォード・ムーア 「性本能と原爆戦」の原作
最終戦争のあとの生き残りをかけた嫌な感じの中年男の話。ああやだやだ。と思わせるところを赤裸々に描いているところが読みどころ。


「殺人ブルドーザー」シオドア・スタージョン 「殺人ブルドーザー」の原作
人物の構成と役割がハリウッド映画的にきっちりと描かれているところがスタージョンっぽくない。圧倒的なブルドーザーの迫力が描かれているところが小説ならでは。とってつけたような最後の始末は、これがホラ話であることの象徴。これを許せるかどうかで心の広さが計られるといえよう。


「擬態」ドナルド・A・ウォルハイム 「ミミック」の原作
SFっぽいホラー。この世界には侵略者が既に入り込んでいて……


「主人への告別」ハイリ・ベイツ 「地球の静止する日」の原作
理知的で友好的な宇宙人の訪問に対する人類の反応を描く。最後のオチが時代を感じさせる。


「月世界征服」ロバート・A・ハインライン 「月世界征服」の原作
宇宙開発をリアルに描いたSF。リアルな未来予測SFとは結局現在まで和解することができませんでした。というわけでハインラインとクラークは、(一部の作品を除いて)鬼門となっている。あと、未来史ものも駄目なんだよなあ。何故だろう。


「月世界征服撮影始末記」ロバート・A・ハインライン 
撮影の記録。いかにもハリウッド的なSFに対する無理解がいかにもに描かれている。



全体的に、久しぶりにSFらしいSFを読んでほっとしたりうんざりしたりでした。半世紀前のSFって、現代の少年にとってはどうなんだろう。